“ジャイアニズム”のルーツを探せ! 『るろ剣』との意外な関係とは一体!?
■“ジャイアニズム”の発祥はまさかの『るろ剣』!?
『るろ剣』の相楽左之助が「お前のものは俺のもの~」の有名フレーズを…
“ジャイアニズム”という言葉を聞いたことがありませんか? 『ドラえもん』の登場人物であるジャイアンの言動を、皮肉めいた思想のように名付けた俗語です。「お前のものは俺のもの、俺のものも俺のもの」というフレーズはあまりにも有名。1990年代から浸透してきたジャイアニズムですが、実は『るろ剣』の作中で名付けられていました。

アニメ『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』公式サイトより
『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』(略して『るろ剣』)は、1994~1999年まで『週刊少年ジャンプ』で連載していた人気マンガ。2012~2021年には佐藤健さん主演で5作ほど実写映画化されています。ジャイアニズムの発祥とされているのが、主人公の緋村剣心の仲間である相楽左之助の言動によるもの。
『るろ剣』の作中で相楽左之助が「お前のものは俺のもの~」のフレーズを発したとき、背景に“ジャイアニズム”の文字が描かれていました。これ以降ジャイアンと似たような言動の人に対して、“ジャイアニズム”の言葉が使われるようになったと言われています。原作の『ドラえもん』から生まれた言葉ではなかったんですね。
「お前のものは俺のもの~」はイギリスのことわざ!?
悪い意味で使われることの多いジャイアニズムですが、テレビアニメ版では“良いジャイアニズム”として描かれている回があります。アニメ版の『のび太のハチャメチャ入学式』は、のび太がドラえもんと共に小学校の入学式までさかのぼるストーリー。さまざまなハプニングに見舞われた1年生ののび太は、入学式に遅刻したと勘違いして1人で家に帰ってしまいます。しかし、帰り道のさらなるハプニングでランドセルまでなくし途方に暮れるのび太。そんなのび太を1人で探しに来たのがジャイアンです。
のび太のランドセルが信号待ちをするトラックの荷台に載っていると知ったジャイアン。トラックを必死で追いかけてランドセルを取り戻してくれます。そのランドセルをのび太に渡すときに言った言葉が、「お前のものは俺のもの、俺のものも俺のものだ!」なのです。良い意味で使われる“ジャイアニズム”はなかなかお目にかかれませんよね。
ちなみに「お前のものは~」のフレーズは、イギリスの諺として辞書にも載っているのだそう。もともとはシェイクスピアの『尺には尺を』という作中で使用された「オレの物はあんたの物。あんたの物はオレの物」というセリフが元です。
このセリフを『上品な対話』という作中で少し変えて使用したのが、『ガリバー旅行記』の作者であるジョナサン・スウィフト。「オレの物は~」をもじったセリフがイギリスの諺につながっています。藤子・F・不二雄先生がシェイクスピアを元ネタにしたのかは不明ですが、『るろ剣』と同様に驚きの関係がありました。
(文=ザ・山下グレート)