『幽☆遊☆白書』は劇中劇!? 作者の冨樫氏が『ヨシりんでポン!』で描いた最終回のその後…

■『幽☆遊☆白書』は劇中劇だった!? 真相は未だわからず…

作者本人が『ヨシりんでポン!』という同人誌をコミケに持ち込む

『幽☆遊☆白書』は『週刊少年ジャンプ』で1990~1994年まで連載されていた人気マンガ。当時は『ドラゴンボール』や『SLAM DUNK』と並ぶ3枚看板のマンガのひとつでした。アニメ化もされ人気を博しましたが、原作は唐突に最終回を迎えています。

「『幽☆遊☆白書』TVアニメ化25周年記念」公式サイトより

原作の最終回後、作者の冨樫義博氏が「幽遊白書は俳優が演じていたもの」という内容の同人誌を発行していたことを知っていますか? 『ヨシりんでポン!』というタイトルで発行された同人誌は500部限定の無料配布でした。しかも、作者である冨樫氏本人がコミケに来て配布したことで会場はパニックになります。

同人誌には登場人物の「本名」も公開されていました。主人公の浦飯幽助は「新庄陽平」という名前に。青年姿のコエンマと妖狐蔵馬は同じ俳優が演じている設定です。同人誌では『幽☆遊☆白書』の撮影が終わり、出演者たちが古い館で打ち上げをする様子を描写。ファンの間に衝撃が広がりますが、「パロディだろう」と思った人がほとんどだったのではないでしょうか。

“作り上げたキャラクターは、壊すか読者が飽きるまで同じことを続けるしかない”と同人誌内で告白している冨樫氏。本当は『週刊少年ジャンプ』での最終回に、同人誌で明かした設定を描きたかったのかもしれません。“壊すことはボツになった。かといって繰り返す体力と気力もなかった”とも記しています。冨樫氏もその後、完結編については触れていないため真相は不明のまま…。

原作が唐突に最終回を迎えた理由も同人誌内で吐露

冨樫氏は、原作が唐突に最終回を迎えた理由についても『ヨシりんでポン!』で吐露。主な理由として、身体上の理由とマンガに対する考え方が変わったことを挙げています。“『幽☆遊☆白書』の執筆意欲よりもストレスが上回った”とも告白。1週間で半日の休みしかないことや体調を崩したこと以外にも、1人で原稿を描き上げたい気持ちを抑える理由がなくなったと記しています。

連載中もストレスがピークに達したときには、アシスタントなしでマンガを仕上げていたそう。“原稿に満足できないストレスを解消するには、1人で仕上げることしかない”と述べています。実際に1人で描き上げた回は殴り書きが多いものの、自己満足できたと綴っていました。自らを「プロ失格」とした上で、最後に要約として「わがままでやめました。すいません。」という締めくくりに。

『幽☆遊☆白書』最終回の1年後に『レベルE』の連載が始まりますが、『週刊少年ジャンプ』では異例の月一連載でした。丁寧な作画と中身の濃いストーリーで冨樫氏の最高傑作と評判です。実は『レベルE』でも「今までのストーリーは、バカ王子(登場人物)の書いたマンガだった」という架空オチのストーリーが。

『レベルE』は当初、主人公を設けずにオムニバス形式で進んでいく構想でした。しかし、“主人公を立てないと読者が混乱する”と編集部にモノ申された経緯があります。バカ王子が編集部へマンガを持ち込むオチは当てつけだったのかも? 『ヨシりんでポン!』では“幽遊白書のキャラでできることは、商業誌ベースでやりつくした”とこぼしていましたが、「劇中劇」の真相にはさまざまな事情が含まれていそうですね。

(文=ザ・山下グレート)