「エモい曲」を作るには「自分のツボ」を知ることが必要! プロ作曲家が教える作曲過程

 

お久しぶりです、園田健太郎です。

世間は何かと物騒ですが、段々と春になって来ましたね。僕は花粉症なので大分辛い時期を耐えています…。

さて、今回はスタジオで質問があった「エモい曲ってどうやって出て来るんですか?」というご質問に対してちょっとばかり書いて行きたいと思います。

割と感覚的な所も多くなってくるかと思いますが、わかりにくかったらすいません…。

端的に言えば「自分が感動できるような曲を書く」という事になるのですが

A:自分だけが感動できるもの
B:他人だけが感動できるもの
C:自分と他人が両方感動できるもの

こんな感じで分類出来ると思います。

その中で出来るだけCに近い物を書けた時に良い結果が生まれる事が多いです。

これは恐らくどんな物作りにも共通して言える事だとは思うのですが、AとBについては100%は有り得ますが、Cに100%は存在しないんですよね…。

何か物を作った時には賛否両論が少なからずあるのはそのせいです。

例えばピンチになったら最終的にヒーローが現れて助けてくれる世界線が好きな人もいれば、結局誰も助からない、現実は厳しいのだ、的な世界線が好きな人もいます。

なので僕の場合は商業作曲家という立場からまずBを考えていきます。

「この人にどんな言葉、メロディを歌ってもらったら、この人が好きな人に感動してもらえるんだろうか?」という事ですね。

その中にAを少しずつ混ぜて行きます。出来るだけ自分の痕跡が残らないように。

自分の痕跡=個性、ではあるのですが、個性って何もしなくても最終的に滲み出てしまう何かだと僕は思っているのであえてそこで痕跡を残そうとはしません。結果的に残ればそれが一番いいかな、という程度に留めます。

その際に必要になって来るのが「自分にとってのA」が何かをしっかり認識している事です。

リズムであったりメロディであったりコード進行であったり、自分の中にあるツボ、みたいなものはこういう物です、というのは出来るだけ言葉に出来た方が良いです。楽器構成、なんかもその中に含まれるのではないかと思います。何が自分にとって感動できる物なのか、については知っておいて損はありません。

それを土台にしてCがどの辺りかを探って行きつつ…

あー、これは行き過ぎたかな? → うーんこれだと薄いな、を何度か繰り返して微修正を加えていくという感じでしょうか。

何度かシングルを書かせて頂いていて、かつそれが好評だったりする場合についてはAを少しずつ多めに混ぜて行ったりもします。

エモーショナルな曲の出来方とか書いてる割に全然エモーショナルなやり方じゃないですね笑

ただ本当にこんな感じで曲が出来上がって行きます。感情にどっぷり浸りつつ、感情に振り回されないようにコントロールするというか。入り込んでいる時はなんかミリ単位で何かを動かしている気分になる時もあります。

自分だけが感動できる物を作ってそれが毎度評価される人もいます。が、僕はそっちのタイプではないという事を知っているので毎度そういう工程が必要になってくるんですねー。

という感じでしょうか。

今年は隙あらばメロを書く、みたいな姿勢で臨んでおりますので、また何か聴く人にとっての宝物みたいな曲が世の中に出れば幸いです。

【今回のBGM】
SWEET,BITTER,CANDY ― 秋~冬/ムーンライダーズ

大人のロック。とても好きです。大人が大人になった後に書いた青春、みたいなのが僕の一個のツボなんだと思います。

 

園田健太郎(そのだ けんたろう)

(C)園田健太郎

1982年2月14日生まれ、熊本県出身。時には作詞家、またある時には作曲家&編曲家。作家の仮歌からコーラス、音楽制作からボーカルディレクション等々を色々手掛けるフリーランサー。

Twitter:@sonodakentaro
お仕事一覧など:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%92%E7%94%B0%E5%81%A5%E5%A4%AA%E9%83%8E
公式HP:http://sonodakentaro.com/