魔法少女モノとは思えない!? 『カードキャプターさくら』の複雑な恋愛模様
■多種多様な恋愛事情にビックリ!?
枠にとらわれない愛の形
昨年に連載25周年を迎えた『カードキャプターさくら』。ヒットメーカー・CLAMPが手がけた原作コミックと、NHKで放送されたアニメ版ともに多くのファンを持つ人気作です。カードをめぐる戦いやファンタジックな魔法の描写もさることながら、魅力的なキャラクターたちの恋愛模様も魅力のひとつでしょう。

『カードキャプターさくら』公式サイトより
同作で最も印象的な恋愛要素といえば、主人公・木之本桜のあこがれの人である月城雪兎をめぐる三角関係です。桜のライバルである転校生の少年・李小狼も雪兎に惹かれており、年齢や性別を問わず魅了するキャラクター。じつは雪兎が持つ月(ユエ)の力に惹かれていた… という背景があるのですが、穏やかで優しい“雪兎さん”に心を奪われたファンも多いのでは?
知世ちゃんの純粋な思いに感動
同性同士の恋をナチュラルに描いていた点も同作の魅力。たとえば桜の親友・大道寺知世は、バトルコスチュームを手作りしてビデオ撮影に挑むほど桜のことが大好きです。その“好き”は友情を超えた愛に見て取れますが、知世は桜に告白することはありません。
桜が雪兎に思いを寄せている時も、最終的に小狼と結ばれた際も知世は桜を陰ながら応援していました。「わたしの幸せはさくらちゃんが幸せでいてくださることですから」という、健気で純粋な思いに胸を打たれます。ちなみに知世の母親である園美は、若くして亡くなった桜の母・撫子と従姉妹同士。園美も撫子のことを溺愛しており、親友や家族以上の思いを抱いていたようです。
また年の差カップルも多く、桜の両親もかつては教師と生徒の関係。兄の桃矢も中学生の頃、当時教育実習生だった観月歌帆と交際していました。のちに歌帆は桜の学校に教師として赴任してくるのですが、桃矢との再会は少女向けアニメとは思えないほど大人っぽいしっとりしたシーンになっています。
さらに桜のクラスメイトである佐々木利佳も担任の先生と付き合っている描写が。枠にハマった恋愛ではなく、多種多様な愛の形を描いているのも『カードキャプターさくら』が色褪せない理由かもしれませんね。
(文=ザ・山下グレート)