設定ミス!? あしたのジョー「力石徹」の過酷な減量の秘密
■『あしたのジョー』力石徹の秘密
力石徹という男
日本のマンガ史の代表作のひとつである『あしたのジョー』。「高森朝雄(梶原一騎)」の原作を「ちばてつや」が描いたボクシング漫画です。主人公である矢吹丈の対戦相手としては金竜飛やホセ・メンドーサなど様々な人物が登場してきましたが、運命のライバルといえば「力石徹」ですよね。無理な減量の末に対戦には勝利をするが、命を落としてしまう…。そんなストーリーに胸を熱くした読者も多いはず。そこで今回は力石徹に隠された秘密について紹介します。

『あしたのジョー』連載50周年記念サイトより
過酷な減量の理由
そもそもなぜ力石徹はあそこまでの厳しい減量を行わなければならなかったのでしょうか。実はキャラクター設定に原因がありました。力石徹が矢吹丈と出会うのは特等少年院なのですが、作画担当のちばてつやがイメージしたのは「大きい男」。矢吹丈の前に立ちはだかるというシーンがあったので仕方がないのかもしれません。そのため矢吹丈と力石徹には体格差が出来てしまい、後に同じ階級でふたりを戦わせるためのつじつま合わせが必要となったわけです。
ちなみに矢吹丈を太らせて力石徹と戦わせるということも考えたようですが、ふっくらした矢吹と痩せた力石では絵にならないと却下になったとのこと。確かに両者が階級を合わせるために体重調整を行っていたら、あれほどの感動ストーリーは生まれなかったかもしれませんね。
つまり力石徹のキャラ設定のミスは、『あしたのジョー』における最大のヤマ場を生んだまさに「ケガの功名」と言えるでしょう。
(文=ザ・山下グレート)