印税は「不労所得」ではない!? 兼業ボカロPの確定申告事情に迫る

 

「はい、みなさまどうもこんにちは。オワタPこと”ガルナ”です」

2021年3月から連載を始めたこの執筆も、いったん今回で筆を置く形となる。全部で24回、短いようで永い1年だった。常に隔週毎に迫りくる〆切と戦い続けるのは、さながら持久走のようで、本業や副業、そして子育てを掛け持つどこにでもいる普通の社会人にとっては、なかなかに厳しくも、それでいて楽しい仕事だったと思う。

その最終回となる今回、タイトルで察して頂いた方もいるだろうが、個人事業主になるなら避けては通れない関門『確定申告』まさにラスボスに相応しいテーマを、今回は掲げようと思う。

そもそも『確定申告』がなんなのかをいまさら語る必要はあるまい。年に一度、税務署へ収支状況を報告する儀式だ。

最近だと一般のサラリーマンなどでも、ふるさと納税などで関係してくる人も多いだろう。私は自身が住んでいる街に色々と子育て関係でお世話になっているから、実はふるさと納税を使ったことが無い。市外への税金の流出が深刻となる今、自分だけが返礼品などで潤っても意味が無いのは重々承知している。本当なら市民にも開放してくれればよいのだが、残念ながらそこまでのサービスはないのがもどかしい。

ちなみに、以前同級生に「ふるさと納税で良い返礼品の地区知らない?」と聞かれた時に、同様の理由で利用していないことを述べたら「キャラじゃない」と言われてしまった。いったい私をなんだと思っているのだろう。悲しい。

そんな確定申告だが、私は初回でも述べた通り、大学生の頃からボカロPとして活動を始めていた。当時はカラオケ配信による印税制度もなかったし、まだまだ商業CDなどが出る前の話だったので、そこまでがっつり収入があるようなものでもなかった。しかし、やがて即売会などで同人CDを売ったり、当時の着うたフルなどでの収益が上がるようになってから、両親の扶養を外れないようにアルバイトの回数を減らしたりなど、色々とやるべきことが増えてきた。そして、ボカロPになってから2年程で、確定申告デビューをすることになった。

確定申告には白色と青色の2種類の申告方法があるが、初回は白色申告で頑張った。税務署に行って、色々と教わりながらなんとか申告を終わらせた。私の場合、雑誌で有料でインタビューを受けたり、毎回違う会社のコンピレーションアルバムに楽曲を提供して僅かばかりの収入を得たりしていたので、様々な会社との取引の証明となる源泉徴収票がたくさん存在した。そのやり取りもすべて記載する必要があるため、とても面倒だった記憶がある。

その様子を見ていた両親から、税理士事務所を紹介された。もともと両親は自営業で、税理士事務所にお世話になっていた。息子の分も一緒にお願いしたい、という流れで、私は甘えることにした。

帳簿の整理はもともと母が事務所の経理をしていたので、そこも甘えて一緒にお願いをした。そもそも自分自身のお金がどのように動いているのかすらわかっていなかったので、たくさん曲を作ったらいつの間にか銀行の残高が増えている、くらいにしか考えていなかった。申告も青色に変更して、しっかりとした申告書類を作って還付金を受け取ることにした。

お恥ずかしながら、私はお金に疎い。私生活で使うお金はほとんどカード払いだし、交通系ICカードやQRコード決裁なども併用していて、現金はほとんど使っていない。家族も家族カードで財布を一緒にしているし、光熱費などもすべて引き落としにしているから、1ヶ月のカード利用明細などを見ると、びっくりするくらい使っていることがある。

詳細を見ると、確かに旅行に行ったり、あるいは新譜を作ったりで軽く1件10万円を超えるようなこともあるので、そこまでびっくりする金額でもないのだが。ちなみに、預貯金の残高なども毎月通帳記帳だけ定期的に行っているので、そこで今の状況を確認する程度である。資産運用などは考えておらず、株式投資などをする暇があったら曲を作った方がいいに決まっている。その方が余程稼げると思っている。

そういう意味では、確定申告用の書類で毎月の帳簿をしっかり作ることは、我が家の家計簿代わりでもあり大切なことなのだなと思う。読者のみなさんも、お小遣い帳・家計簿などはしっかりと作った方がいいと伝えておく。私はやる気はない。

印税収入というと聞こえは良いが、決して「不労所得」とは言えない。過去に自分がした仕事の対価として、お金が後からついてくるのだから。印税が嫌いな人はいない。それは常日頃から私が公言していることだが、あまりにも印税印税言いすぎて担当の人に怒られた経験ならある。でも、声高高に言おう。印税は、いいぞ。

YouTube「印税大好きフォーエバー」

初音ミク10周年のお祝い曲でも印税をテーマにした曲を作った。これはたくさん再生されたので、この次に出したアルバムのタイトルは「いんぜい\(^o^)/」となった。アルバムを所望される方が「いんぜいください」というだけで面白いからずるい。私はアルバムを手に取って「お納めください」と渡すのだからなおの事ずるい。

/いんぜい\(^o^)/
https://garunan.com/inzei.html

さて、そろそろ終わりも近付いてきた。

自己紹介から始まり、アルバムを作ってイベントに参加し、あるいは日常の私生活について触れて、印税の話で締める。オワタPという人となりがよくわかる構成だったと思う。このような文体でエッセイを寄稿するのは初の試みだったので、とても楽しい経験をさせてもらった。ツイッターを見ている方ならわかると思うが、普段は緩い発言をしているので、よかったら今後はそちらも楽しく見て欲しい。

最後の宣伝は、先日『Synthesizer V AI 弦巻マキ』を使って1年前の楽曲のカバーをしたので、それを聴いて欲しい。

「さよならの代わりにチャンネル登録お願いします」

これからも「好きなことを、好きな時に、好きなように」をモットーに頑張って創作活動を続けていこうと思うので、ぜひオワタPもガルナもどちらも、応援してくれれば幸いだ。その時は、きっといつもの掛け声で、みなさんをお迎えするのだろう。

「はい、みなさまどうもこんにちは。オワタPこと”ガルナ”です」

おわり

 

ガルナ(オワタP)

(C)ガルナ(オワタP)

1987年12月31日生まれ。東京都出身。山羊座のB型。
代表楽曲「トルコ行進曲 – オワタ\(^o^)/」「パラジクロロベンゼン」「リンちゃんなう!」など
Website:https://garunan.com
Twitter:@tomatowt