食器が割れると仕事がくる…? ボカロPが両親から受けついだ不思議なジンクス

 

「はい、みなさまどうもこんにちは。オワタPこと”ガルナ”です」

みなさんは、ジンクスという言葉はご存じだろうか。辞書によると『因縁のように思う事柄。縁起。本来は縁起の悪い物事をいうが,近年では縁起の良い物事を言う場合もある』と記載されているが、まぁ科学的な根拠などは特になにもないものだ。世間一般では、黒猫を見かけると不幸が起こる、靴紐が切れると身内に良くないことが起こる、など、たいていは悪いことの意味合いで使われることが多い。今回は、そんなジンクスの話である。

私には実家と呼べるものはなく、昔から何度も引越しをしてきた。とはいえ転校する程の距離は動かずに、近所で少しずつ住処を変えていた類の家族だった。強いて言えば両親ともに北海道は釧路方面の生まれだったので、祖父母に会いに毎年帰省していたので、そちらの方が田舎っぽくて良い。

私が学生時代に住んでいた家も、今は知らない誰かが住んでいる。今日この時点で、両親はまた別のところへ引っ越して、恐らくそこを終の棲家とするのだろうか。あるいは、また別の場所へ移り住むのかもしれない。幼心に、毎回郵便番号や住所がころころと変わるのは、とても面倒だった気がする。

私自身、現在は神奈川県の某地区の分譲マンションの一部屋を購入し、まぁこれから先そうそう引っ越すことはないと思っているのだが、今でも当時の実家での出来事をよく思い出す。その中のひとつに、本日紹介するジンクスがある。

我が家のジンクスは『食器が割れる』ことだった。

ジンクスという言葉そのものには元来負の要素が大きく、当然世間一般的にも『皿が割れる』ことは凶兆の訪れと思われているだろうが、恐らく両親が勝手にそう思っていることだろう、我が家では食器が割れることは吉兆を意味していた。「割れると、新しい仕事が来る」などとよく母は言っていた。

父は一級建築士として、個人事務所を営んでいる。特に自分から営業しているわけでもなく、知り合いの紹介で設計の仕事をしている、と私は聞いている。実態は息子である私にもよくわかっていないのだが、親がどんな仕事をしているかなんて、しっかり把握している子供の方が少ないだろうと勝手に思っている。

そんな家族にとって、新しい仕事というのは当然ながら大事なものだ。依頼がなければ、稼ぐことは出来ない職種なので、食器が割れることは良いことなんだと、母はよく言っていた。まぁ、こんなジンクスがあるのは我が家だけだと思っているが。

そして、そのジンクスは当然ながら家族の私にも適用されるらしいと、常日頃から思っていた。今の嫁と過ごし始めてから、幸か不幸か何度か食器は割れたが、そのたびに新しい音楽関係の仕事がやってきた。去年なんかは在宅中にマグカップを割ってしまった結果、その一週間後に同日に商業案件が2つも来た。ちなみに、そのうちの片方は先日公開した某スマホゲームの書き下ろし楽曲である。

頻繁に食器が割れる家ではないのだが、さすがに曲作りともなると、月に一枚などの頻度で割られると完全にキャパシティオーバーになってしまうので、嫁にはなるべく食器を丁寧に扱うようお願いをしている。ジンクスについて最初は疑問符を浮かべていた嫁も、納期に追われてあわあわしている旦那を見てからは、なんとなく察したと思う。

ここまで書けば、聡明な読者ならお気付きだろう。本エッセイの隔週寄稿の話も、実は自宅で当時3才の娘がうっかりガラスのコップを投げて盛大に割散らかした直後にやってきた案件である。次回で最終回を迎える、この1年程のそれなりにボリュームのある話も、最初は担当者からのお誘いのメール、ではなく、その前に起きた『ジンクス』からだったのだ。ちなみにこの案件の他に2つ程お仕事に繋がるメールが来ていたのは記憶に新しい。

あれから1年、我が家では先日も酒燗器の容器を棚からうっかり落として割ってしまい、また新しい業務依頼のメールが届いたところだ。これからも引き続き「好きなことを、好きな時に、好きなようにやる」をモットーに活動していく所存だが、このジンクスだけは、誰にも止められそうにない。また適当なタイミングで案件についてはツイッターなどで呟くと思うので、気長にのんびりと構えていて欲しい。

さて、今回の宣伝だが、今も最後に伝えた通り、このエッセイは次回で最終回を迎える。今回の話そのものがまさに最終回にふさわしい構成だったと思うのだが、どうしてここで使ってしまったのか。それは次回の最終回の内容を楽しみにしていて欲しい。

そして、これまでの宣伝や今後の告知については、毎日ツイッターでコツコツ発信を行っている。これを機に、ぜひフォローして頂ければ幸いである。

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また、この『日刊ビビビ』の記事公開告知についても、ツイッターのサービス『モーメント』にてすべてまとめている。過去の記事を振り返りたい貴方にオススメのページとなっているので、よかったらクリックして、なんとなく読み返して貰えると助かる。

「ガルナ(オワタP)│日刊ビビビ掲載まとめ」
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最後に、つい先日の節分についての話をしよう。

私の実家では昔からの風習として、豆まきをしたときの「福は内」で家に撒いた福豆を年の数だけ食べるのだが、さらに追加で『同じ数だけの豆をティッシュペーパーに包んで、家から一番近い十字路に置いてくる』という謎の風習がある。ちなみに『十字路に置いてきたら、家の玄関を潜るまでは、決して後ろを振り向いてはいけない』というルールも存在する。子供の頃からずっと怖くて、これまでの人生で一度も振り向いたことはないのだが、みなさんの実家にもこういった謎の風習はあっただろうか。非常に興味深いところである。

なお、我が家は新型コロナウイルス感染症拡大の懸念もあり、小声で玄関でのみ豆まきを行ったとだけ言っておく。来年こそは盛大に楽しめますように。

さぁ、次回はいよいよ最終回だ。最後まで飽きないよう頑張るので、どうぞお楽しみに。
それでは。

つづく

 

ガルナ(オワタP)

(C)ガルナ(オワタP)

1987年12月31日生まれ。東京都出身。山羊座のB型。
代表楽曲「トルコ行進曲 – オワタ\(^o^)/」「パラジクロロベンゼン」「リンちゃんなう!」など
Website:https://garunan.com
Twitter:@tomatowt