『こち亀』の秘密! 連載当初の作者名“山止たつひこ”とはいったい誰?

■『こち亀』の作者名は連載100回目から突然変更に

山止たつひこのルーツは『がきデカ』作者の山上たつひこ

“最も発行部数の多い単一漫画”としてギネス記録にもなった『こちら葛飾区亀有公園前派出所』。40年間、一度も休載しなかった漫画としても有名ですよね。1976年から『週刊少年ジャンプ』で連載が始まり、連載終了の2016年までになんと200巻もの単行本を発行しました。正確にいうと読みきり漫画が収録された201巻が2021年の10月に発売されています。

『こちら葛飾区亀有公園前派出所』公式サイトより

通称『こち亀』の作者は秋本治さんですが、連載当初は山止たつひこのペンネームだったことを知っていますか? 山止たつひこというペンネームのルーツは『がきデカ』です。当時『週刊少年チャンピオン』で大人気だった『がきデカ』の作者が山上たつひこさんでした。『がきデカ』の主人公は少年警察官のこまわりくん。秋本さんは大人の警察官が主人公である『こち亀』にひっかけたのか、山上さんの名前をもじったような名前に。後に秋本さんは若気の至りだと話しています。

秋本治に改名した回から登場の秋本・カトリーヌ・麗子

“山止たつひこ”のペンネームをしばらく使い続けていましたが、山上たつひこさんからの要望もあり『こち亀』がちょうど連載100回目を迎えた1978年に改名。ところで記念すべき100回目に『こち亀』の主要キャラが登場するのですがピンときますか? そう、秋本・カトリーヌ・麗子です。秋本さんと同じ名前ですよね。これは新しい作者名を読者に早く覚えてもらおうと、秋本治さんがあえて自分と同じ名前を付けたとのこと。現在、山止たつひことして初版で発行した単行本はプレミアのつく人気となっています。

ちなみに秋本治さんは、デビュー前の漫画投稿時代には“岩森章太郎改め山止たつひこ”というなんともややこしい名前で活動していました。『こち亀』に通じる秋本先生のユニークな一面が垣間見えますね。

(文=ザ・山下グレート)