『劇場版 ハイスクール・フリート』主題歌「Free Turn」は段ボールの机から生まれた!? 作詞・作曲の出口遼が明かす衝撃の制作環境

 

日刊ビビビをご覧の皆さま、はじめまして。作詞家、作編曲家の出口遼(でぐちりょう)です。

年の瀬ではございますが、この度コラムの連載を始めさせていただくことになりました。滑り込みギリギリでスタートする感じが、なんともダラシない作家っぽいですね。

このコラムでは私が主にお仕事をさせていただいているアニメ音楽やゲーム音楽制作現場の取るに足らないちょっとした小話、また是非紹介したい作品などを中心にお話ししたいと思っています。

さて、第一回は作曲家の作業環境についてです。おそらく皆さまがイメージする作曲家のお仕事スペースってこんな感じではないでしょうか?

(C)KEYTONE

こちらは私がクライアントワークをする際にここ数年お世話になっている所属事務所・KEYTONEのスタジオです。一般的に作曲家やプレイヤーをはじめ、“ミュージシャン”にカテゴライズされる人間は常時この手の場所で日夜たくさんの音を紡ぎ出していそうなものですよね。正解です。

一方こちら、私が一時期構築していた実際の自宅作業スペースです。

(C)出口遼

もうほとんど詐欺です。え、制作原価いくら? みたいな脆弱な環境ですよね。こちらは以前引っ越しをした際に荷解きをするまでの数日間、簡易的に用意した作業スペースだったのですが、私の物臭な性格がたたり、結局その後1年近くそのまま放置してお仕事をしていました。

流石に1年が経つ頃には腰が崩壊し、いくらなんでも効率が悪すぎたのでしぶしぶ荷解きをしてまともな環境を整えましたが、スピーカーはおろか、デスクやディスプレイもない状態でたくさんの音楽を作らせていただきました。

(C)横須賀HUMAXシネマズ

『劇場版 ハイスクール・フリート』の主題歌、「Free Turn」を作ったのもこの時期ですね。ロングランだったことも手伝い、全国の劇場で長きに渡り爆音で鳴り響いたこの楽曲、歌唱担当のTrySailさんがたくさんのオーディエンスを今もライブで沸かせるこの楽曲、今時小学生でももう少しまともな環境でパソコン使うぞ、という環境から産声を上げました。

「人間その気になりゃどんな環境でもなんだって作れる」と、志の高い若き作曲家志望の方に少しだけ勇気を与えられるのではないかな? と思います。
(誤解のないよう念のため補足すると、まともな環境で作るにこしたことはないです!!!)

そんな私が最近作らせていただいた楽曲が、元カラスは真っ白のやぎぬまかなさんをボーカルに迎えて作った「the room」という楽曲です。

(C)hmng

こちらはファッション誌「NYLON JAPAN」さんと、イラストレーターのhmngさんの連動企画で、hmngさんの一枚絵から“部屋”を題材とした楽曲を作らせていただきました。

タイトルになぞらえ、作詞も作曲も編曲も演奏も、スタジオではなく全て自分の部屋で完結しています。ミックスという楽曲制作の最終行程に近い作業も、友人の作家、山本隼人くんの部屋で行いました。

新型コロナウイルスの流行後、スタジオだけではなく自宅での制作もたくさん増えていきました。私のダンボールデスクのような、控え目に言っても最低な環境で作れとは言いませんが、もっと構えず、アマチュアの方でもどんどん積極的に自分の手持ちの装備で楽しくクリエイトするのも時代に合っているのではないかな、と思う今日この頃です。

 

出口遼(でぐちりょう)
1992年2月20日生まれ。埼玉県出身。
2011年、音楽学校在学中の19歳で作曲家デビュー。以降アニメ音楽を中心に作詞家、作曲家、編曲家、ベーシストとして活動。
Twitter:@deguchi0220

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