ただただ泣くことしかできない程の衝撃…! 山岸凉子の名作『日出処の天子』の魅力とは

 

豚乙女のボーカルのランコです。この連載は私が好きなものを好きなように紹介していく記事になっております。

…だったのですが、今回からはおもむきが変わりまして、「私が好きな漫画やアニメについて好きなように紹介していく記事・時々製作日記」になります。好きなものの範囲がせばまったってことですね。引き続きよろしくおねがいします。

今回は私の根幹をつくった漫画家「山岸凉子」の傑作「日出処の天子」の話をします。

好きな漫画、というのはたくさんあるのですが、山岸凉子さんの漫画は両親が好きで、家の本棚にあったので、小さいころから読んでいました。(あと萩尾望都さんと手塚治虫さん)

山岸凉子『日出処の天子』表紙/写真提供@ランコの姉

これは文庫版のやつですね。実家にあったものと一緒です。私は五巻の表紙が好きです。

「日出処の天子」は、タイトル通り聖徳太子(漫画の中では幼名の厩戸皇子と呼ばれています)が主役の漫画です。彼と、主に蘇我毛人を中心に彼のまわりの人間模様を描いています。

「この漫画を読もう」ときちんと意識して読んだのは、高校生の時でした。

私は文系の日本史選択クラスだったのですが、その時の日本史の先生が大好きでした。その方が「この漫画は絶対に読みなさい」とおっしゃったので、小さい頃読んだことはあったのですが、改めて読み直したのです。

その時の衝撃たるや… 言葉に表すのがとてもむずかしいのですが。一晩で読み通して、翌日学校があるのに、泣きはらして徹夜しました。

皇子の孤独がつらすぎて、おもすぎて、高校生だった私には理解もできなかったし受け止めることもできず、ただただ泣くことしか出来なかったです。

あ~~~とにかく皇子が可愛いんですよ!! 本当に美しくて妖艶なのに危うくて儚くて… その実彼は、本当は愛が欲しかっただけなんですよ…

すべてを手に入れることのできる力があるのに、いちばん欲しいものだけは手に入らないって、すごく残酷ですよね。それを、なんというかすごく中立的に、鮮やかに描き出している山岸凉子さんが、本当に天才だと思うし大好きなんです。

結構強火で皇子のことが好きだったので、蘇我毛人のことがすごく、嫌いというか、皇子を一人にするなよ… と怒っていました。クラスのみんなも同じ感想でしたね。

大人になって読み返しても、やっぱり皇子が愛おしい。けれど毛人の気持ちも少しは理解できるようにはなってきました。大人になった。納得はしていませんが。

山岸凉子さんの漫画は他にもたくさん好きなものがあるのですが、今回この漫画を取り上げたのは、タイムリーだったからです。

先日、六本木のサントリー美術館でやっている「聖徳太子展」に行ってきました。

聖徳太子展ポスター

こちらは聖徳太子という存在がいかに信仰されてきたかというのがわかる展示になっていました。だって新しい時代になるたびに、彼の生涯を描いた大きな絵巻が新しく作られるんですよ、平安時代、鎌倉時代、室町時代、江戸時代まで。内容は一緒なのに。それってすごくないですか?

ちなみに、上記の「日出処の天子」の原画も展示されています。本当に… 間近で見てもこれどうやって描いてるんだろうという疑問が益々深まるばかりで… 素晴らしかったです。

こちらの展示2022年1月10日までやっていますのでみなさま是非。

そしてこの度山岸凉子さんの漫画が、電子書籍化しました~! ぱちぱち!

私あんまり電子書籍持ってないんですけど、日出処の天子は実家に置いてきてしまったので、この機に電子書籍で書い直しました。電子で読み返したけど、やっぱり書籍でも欲しいので完全版を買おうと思います。

こんな感じで、レビューというより、私の感想をお届けしてまいります。

みなさま次回もお付き合いくだされば嬉しいです。ではでは、ランコでした。

 

ランコ

(C)豚乙女

2月20日生まれ。血液型B型。
クリエーターグループ『豚乙女』のVo。
歌うために生まれてきた人間。
作詞では生々しい感情を吐き出している。
ファッション、特にタイツ、靴下など 足下お洒落に目がない。
趣味は二次創作。
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