価値観を揺さぶる漫画『モリのアサガオ』 社会の善悪を問う衝撃作とは
今回紹介する作品は『モリのアサガオ』という作品です。

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この作品は郷田マモラ先生による漫画で、
平成19年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞を受賞し、2010年にはドラマ化もされた作品です。
刑務官や死刑囚、被害者家族などの葛藤が描かれている、死刑制度をテーマに取り上げた作品です。
あらすじは
新人刑務官である及川直樹が死刑囚舎房に配属されるところからこの物語は始まる。死刑囚の中には深く反省している者や無気力な者、自らの罪を罪と思わない者、嘘をつき誰かの罪を被る者、冤罪により刑に服す者など死刑囚の現実も性質も様々であり、直樹は死刑囚、被害者家族、加害者家族、同僚、先輩と触れ合い、死刑制度の是非について深く考えるようになる。そんな中、小学校時代の憧れである渡瀬満が殺人を犯し、死刑囚・渡瀬満として死刑囚舎房に入ってくる。そこで満と再会をした直樹は次第に関係を深めていく事になる。
僕がこの作品を知るきっかけになったのは、2015年に舞台版『モリのアサガオ』にてダブル主演の1人、及川直樹役を演じたからです。

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この作品を演じるにあたり、裁判の傍聴や過去に刑務官の職についていたKさんに話を聞きました。Kさんは、僕が小さい時父親が海外に単身赴任をしており僕の父親代わりになってくれたじいちゃんの友達です。
小さいながらに僕は刑務官について全く理解はしていませんでした。モリのアサガオの出演が決まり改めてKさんに話を聞き、実際どういうことが行われていたのか、死刑囚からどんな言葉をかけられたのか、どのようにして死刑が執行されたのかを聞くことができました。
舞台が終わりカーテンコールになり、その瞬間僕はこの作品の意味と意図を知ることになりました。舞台『モリのアサガオ』と言う作品はその瞬間終わりますが、本当の意味はここからスタートするんだと、前内孝文として答えは見つからないまま全公演を終えました。
なぜなら、街の中にあるたった1枚のコンクリートの壁を隔てた先には現実があり、しかし外からは見ることのできない深い深い森が広がっているからです。
私たちは事件が起こり、裁判が行われニュースに取り上げられ情報を得るが、事件のほんの1部分しか知らないのだと。そして忘れられた頃に裁判が終わり、刑が執行される。
その後のことについては、私たちは何一つ知らない。
この作品は無知な私に対したくさんのことを教えてくれました。
何が善くて何が悪い、そんな簡単な言葉で片付けられるほど単純なものではない。だからこそ、いついかなる時私たちに降りかかるかもしれないこの現実を、これからも考えていかないといけないと…
Kさん自身も悩み、苦しみ、そして答えの出ぬまま仕事を終えられました。Kさんを舞台に招待し見終わった後、楽屋挨拶での言葉が今でも忘れられません。
僕に自分の過去を見ている様だと、僕に自身を重ね、あの時の事が蘇ったと言ってくれました。そして忘れる事のできない体験だったと最後に語ってくれました。

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簡単に調べる事ができ、知った気でいてしまうそんな便利な世の中だからこそ、今一度自分の目で足で答えを求めるきっかけになってもらえたら…そんな作品であってもらえると嬉しいです。
今回は漫画紹介の枠から少し外れてしまうかもしれませんが内容は是非読んで自ら考えていただければうれしいです。

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前内孝文(まえうち たかふみ)

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12月25日、大阪府生まれ。山羊座のB型。
これまでに、舞台「KING OF PRISM」法月仁役やアミューズメントゲーム「ポケモンメザスタ」男性ナビゲーターボイス、VTuberアニメ「おねがいっパトロンさま!」胡桃峯役などを担当。
Twitter:@maeuchitakafumi
公式HP:http://object-co.jp/talent/takafumi_maeuchi
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毎週木曜日21時からYouTubeにて配信中『ta-taの部屋』
YouTubeアニメ・Vtuber配信『おねがいっパトロンさま!』胡桃峰役
YouTube『セイユーチューブ』 秋月ソラ君役
ニコニコ動画キャストサイズチャンネル内『(鯛)〇〇ファクトリー』2MC
『ポケモンメザスタ』男性ナビゲーター
『メギド72』ベルフェゴール役
『SPUTNICKS』レギュラーモデル など