泣きゲーの傑作『AIR』の主題歌「鳥の詩」はイギリスの外国音楽がモチーフ!?

■不朽の名曲「鳥の詩」

永遠が色褪せるまで……

「泣きゲー」として語り継がれる名作ゲーム『AIR』。後にアニメ化やコミカライズもされたので、そちらで知っている人も多いのではないでしょうか。同作品はストーリーはもちろん、主題歌である「鳥の詩」も高い評価を得ています。Liaの代表曲としても有名ですね。今もファンに愛され続けている「鳥の詩」ですが、じつは外国のシンガーLost Withnessの「Red Sun Rising」をモチーフにして作られたことを知っていましたか?

『AIR』公式サイトより

実際に「Red Sun Rising」を聴いてみると、切なさを感じるテクノサウンドが確かに「鳥の詩」を彷彿とさせます。しかし注目するべきは歌詞の内容。英語なのでざっと要約すると、赤い太陽が昇り全てが赤く染まる世界で高くて白い“青い空”を待っていると歌っているよう。そして曲中で何度も繰り返される「Until forever fades away」は、日本語に訳すと「永遠が色褪せるまで」。永遠さえも色褪せるほど永い時間、青い空をずっと待っているという内容になるのです。

まさに1000年もの間呪いに苦しむ神奈の魂が、呪いから解き放たれることを願っているような歌にも聞こえますね。完全に『AIR』の世界とリンクする「Red Sun Rising」。Keyがモチーフにしたのも納得です。

「鳥の詩」を意識して作った楽曲も

「鳥の詩」は「Red Sun Rising」をモチーフにしていましたが、逆に「鳥の詩」を意識した楽曲もあります。『AIR』と同じくKeyから発売された『智代アフター ~It’s a Wonderful Life~』の主題歌「Light colors」。「鳥の詩」と同じ制作メンバーが手掛け、同曲のメロディーを意識して作られました。

確かに疾走感がありながらも哀愁漂うテクノサウンドと、Bメロに入る時の変調が「鳥の詩」っぽいですね。実際に聴き比べてみると「鳥の詩」を意識したというのがよく分かります。

ちなみに、ハッピーエンドが多いKeyの作品の中で『AIR』と『智代アフター ~It’s a Wonderful Life~』の2作品は悲しい結末を迎えます。こういった共通点もあって、「Light colors」を作る時に「鳥の詩」を意識したのでしょうか? 真実はKeyしか知りませんが、非常に興味深いですね。

物語の世界観が反映されるゲームやアニメの主題歌。モチーフとなった楽曲を知れば、より作品への理解が深まるかも知れません。

(文=ザ・山下グレート)