同人誌の委託システムってどうなってるの!? オワタPが語る委託販売の裏側
「はい、みなさまどうもこんにちは。オワタPこと”ガルナ”です」
前回は先日開催されたマジカルミライ2021へのイベント参加に併せて、事前準備にまつわる話などを行ったが、今回はイベントの外側の話をしようと思う。具体的には、委託の話だ。委託という言葉はこの界隈ではよく使われる言葉だが、簡単に言ってしまえば、同人誌や同人CD、グッズなどを、特定の業者に委託販売するという意味で今回は行く。
有名どころでいえば、とらのあな、アニメイト、メロンブックスなど、みなさんも聞いたことがある店があるだろう。これらはインターネット通販もやっており、また実店舗も全国に構えている有名店である。商業流通しているマンガやアニメのDVD、CDはもちろんのこと、いわゆるJANコードを取っていない自費出版の物品も男性向け・女性向けを問わず取り扱っている。
これら大手に委託を依頼すること自体は敷居が高いと思われがちだが、もちろん査定というシステムは存在する。事前に中身のデータ、あるいは見本誌を提出して、過去の実績などを鑑みて、最終的に委託発注数などが決められる。駆け出しの同人サークルは委託を申請しても、お断りをされるか、できても10部など少数になってしまうだろう。それらはだいたいが通販委託分としてまわされて、実店舗に並ぶことはないと思われる。
委託をすることのメリットは、イベント頒布物を、手軽に全国各地のファンの元へ届けられることにある。実店舗はだいたい都市部にあるが、地方に在住していて東京や大阪のイベントに遠征できないファンなどは、遠征する代わりにそういった店舗で新刊・新譜として購入できる機会が与えられる。我々も身体はひとつしかないので、全国あちこちで開催されている即売会へ飛び回ることはできない。みなさんが私の元に来てくれるのが一番だが、それが出来ない人のために、仲介役として存在する委託販売には、いつも助けられている。
また、実店舗が近くに無い人には、委託通販がある。実店舗に行くことなく、インターネット上で購入ができるシステムだ。こちらは家に居ながらにして購入ができるし、最近は実物でなくてもデータでの販売などを手掛けるサークルも増えているので、自室の本棚などを圧迫せずに気軽に購入できるのが強みだろう。
続けて手数料の話をしよう。当然、我々サークル側は卸金額を決めて委託するわけだが、たとえばイベント販売価格が1,000円のCDを委託するとして、卸金額を同様に1,000円とした場合、実際に店舗では手数料が上乗せされて、たとえば1,500円で販売される。利率は各社の基本設定や委託状況などで多少は変化があるが、だいたい30~40%が相場だろう。通販の場合はさらに送料も追加となるが、イベント会場への往復の交通費を考えれば、通販の方が遥かに安くなることは明らかである。
良心的なサークルだと、イベント販売価格と委託販売価格が同額となるよう設定しているものもある。不良在庫を抱えるよりは、利益を減らしてでもたくさんの数を出そうという気概だろう。どちらのスタンスも間違ってはいない。
私の場合は、こういった外部店舗への委託を実質外部倉庫として扱っていた時期もある。自室に在庫の山を保管しておくよりも、委託先に預けておくことでどんどん販売してくれて、また次のイベント前に頒布分を返してもらう、みたいな扱いができるので、委託通販は積極的に行っていた。複数店舗でやっていると管理も大変だが、それだけたくさんの方に手に取ってもらう機会を設けられたのだから、Win-Winの関係だと言える。
また、イベントのたびに新作などを出しておくと、担当者側がイベント開始前に挨拶に来て、今回の新譜の確認や必要に応じて発注なども行ってくれる。かつては即売会で余った在庫をそのまま委託先へ発送する、なんて荒業もやっていたくらいだ。
最近は音楽作品そのものをKARENTなどを通じてサブスクリプションで配信していることもあり、委託通販を利用することは減ってきているが、それでも私は当時確かに利用していたので、今回このような形で書き記しておく。
今年の年末にはコミケも再開されて、またたくさんの同人誌が世の中にあふれ出るだろう。だが、もちろん現地に行けない人も大量にいる。そういう時は、ぜひ委託販売という制度を存分に活用して、大好きなクリエイターの作品を購入して、経済をまわして欲しい。委託販売での売上は、当然ながらクリエイター自身の手元に入る。そして、次の作品を生み出す活力を与えるのは、まぎれもなく、みなさまなのである。
というわけで、見事な導入からの宣伝といこう。
先日のイベントから、オワタPの8枚目のボーカロイドアルバム「さんぷん\(^o^)/」が頒布開始となった。全部で18曲、収録時間は1時間、イベント価格は1,000円となっている。この記事を書いた方向けに説明するなら、卸価格は1,000円である。会場に来られない方向けの委託通販も実施しているので、イベント会場に行くことができない方は、ぜひ以下のページから購入手続きを行って欲しい。
さんぷん\(^o^)/(がるなん.com):
⇒https://www.garunan.com/3minutes.html
委託通販サイト(とらのあな):
⇒https://ecs.toranoana.jp/tora/ec/item/040030936792/
また、先日の大阪会場とは別に、今度は東京会場でのイベント参加の予定もある。場所は幕張メッセ、日時は11/7(日)だ。
初音ミク「マジカルミライ2021」in TOKYO – 11/7
⇒https://magicalmirai.com/2021/
こちらの企画「クリエイターズマーケット」にて、私オワタPが実際にみなさまの前に立って自身のボーカロイドアルバムを頒布する。コロナ禍ではなかなか無い機会なので、ぜひ遊びに来て欲しい。
次回の記事のお題だが、2021年度初参加の頒布イベントの感想を書き連ねてみようと思う。このエッセイの寄稿を始めてから、地味に初めてとなるイベント参加。コロナ禍の前後でなにか変わったことがあったのかどうかも含めて、ぜひ楽しみにして欲しい。
それでは。
つづく
ガルナ(オワタP)

(C)ガルナ(オワタP)
1987年12月31日生まれ。東京都出身。山羊座のB型。
代表楽曲「トルコ行進曲 – オワタ\(^o^)/」「パラジクロロベンゼン」「リンちゃんなう!」など
Website:https://garunan.com
Twitter:@tomatowt