「ビバリーヒルズ高校白書&青春白書」吹き替えメンバーで鬼怒川旅行!? 90年代声優界の打ち上げ事情

 

今と昔では仕事の仕方も随分様変わりしました。
例えば、あの頃は、アニメも洋画の現場も、終わった後、必ず飲み会があったんです。

アニメは昼間の時間帯の物は勿論行けませんでしたが、夕方や夜に終わる作品は全て飲みに繰り出していました。プロデューサーやディレクターや監督も。

作業のあるミキサー等スタッフの方達は、その仕事が終わり次第で合流して。各スタジオの近くには、馴染みの居酒屋があったものです。洋画の現場も、長尺だと、夕方か夜終わりなので、必ずでした。思い返すと、やはり、行きつけがあり、時々は、新しい店を開拓してもいました。芝居の話になる事が多く、先輩から何時も厳しい事を言われていたものです。

でも、そこで初めて話させて頂き、色々な事を教わる事が出来たので、飲み会も含めての「現場」だったんだと、今は懐かしく思い出します。

僕達若手が、早めに行って、人数分の席を確保したりもしていました。携帯がない時代は、公衆電話から店に掛けたり。洋画の場合は、人数が多く、1次会20~30人、2次会も20人位とか。そのまま朝まで行く人達も。

僕が一番印象的だったのは、「ビバリーヒルズ高校白書&青春白書」で、収録がお昼ご飯を挟んで15時前後に終わり、その足でほぼ全員昼間から飲める蕎麦が美味い居酒屋に腰を据え、22時位まで過ごし、その後は同じビルの上にあるカラオケスナックの様な場所で1時~2時位まで唄い、最後まで残った連中は朝方まで、ディレクターが根城にしていたスタジオでバーボンを飲むという行動を毎週取っていました。

別の現場に行っていた人も、戻ってきて合流するという事も当たり前だったんです。ソファーで仮眠する事もありました。そして朝はディレクターがモーニングコーヒーを淹れてくれたんです。帰り道「中原さんおはようございます」と出勤してきたスタッフに言われるのは毎度の事ながら少し恥ずかしかったですね。

一度、佐々木望君と、夜中から朝まで2人で飲み明かし、帰り際に「ファミレス」で一緒にモーニングを食べた事がありました。

あそこまで飲んだ番組は、後にも先にも、僕には「ビバリー」しかありません。一体これがどれ位続いたのかは思い出せませんが、相当長い間続いたと記憶しています。

あと、番組が終了すると「打ち上げ」が必ずあったんですが「打ち上げ旅行」も必ずありました。だいだいが、始まると同時に、幹事や補佐を決め「打ち上げ貯金」を開始するんです。1回無理のない程度で、500円位だったと思います。当時は、短い番組でも半年(2クール)だったので、レギュラー陣は旅行代金に近い金額は蓄えられていたと思います。

勿論、1度でも出演された方なら大歓迎でした。定番は箱根で、新宿から箱根湯本まで「ロマンスカー」の旅でした。ビール等も沢山買い込み、車内からもう宴会の様でしたね。僕が幹事の時は、新宿から皆さんと一緒に行ったり、家が湘南なので、皆さんより一足早く宿へ入って、番頭さんよろしく、皆さんを待つ事もありました。仕事終わりで、ロマンスカーの最終に乗って駆け付けてくれる方も多かったと記憶しています。

箱根が定番だった理由の一つに、始発のロマンスカーに乗れば、朝イチの仕事(10時から)に間に合うからというのがあったんです。なので、朝イチの先輩を起こして、手配していたタクシーに乗せて送り出すという事も大事な仕事でした。そして、その日に時間のある人間達は、観光をして帰ると。

ちょっと騒ぎすぎて、出禁になってしまった宿もありました。皆があれだけ通る声で、夜から夜中に騒いでいたら相当うるさいでしょうから。長い番組だと、途中で旅行に行くチームもありましたね。

「ビバリー」は早い段階で、更に親睦を深める旅行を企画しました。幹事は僕でした。その時は「箱根」ではなく「鬼怒川」で、何と2連泊だったんです。仕事の関係で、連泊出来る方と、どちらかに来られる方がいて。この旅行で絆が尚更深まったのは確かでした。旅行終わり、浅草の「神谷バー」で生まれて初めて「デンキブラン」を飲んだのもいい思い出です・・・

「ビバリーヒルズ再会白書」最終回後のスタジオにて(C)ローカルドリームプロダクション

いつの頃からか「打ち上げ旅行」を聞かなくなってきたんですが、あの頃、旅行に行ったからこそ、ゲームをやったからこそ、先輩達と親密にさせて頂けるようになったんだなと、つくづく思います。

巧い言い方が見つかりませんが、とても良い時期を経験させて頂いたのだなと思います。今回も、最後まで御読み頂きありがとうございました。

又、次回もよろしくお願いいたします!

 

中原茂(なかはら しげる)

(C)ローカルドリームプロダクション

1961年生まれ。鎌倉市出身。みずがめ座の0型。
「ドラゴンボール超」人造人間17号、「新機動戦士ガンダムW」トロワ・バートン、「戦国BASARA」シリーズの毛利元就、「幽遊白書」妖狐蔵馬など数々のキャラクターを担当。
吹き替えでも「ビバリーヒルズ高校白書・青春白書」ブランドン・ウォルシュや「X-MAN Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」のサイクロプス役などを担当。
ラジオ番組「yuhaku presents 中原茂の『ただ風の中で』」は毎週金曜日19時からFM JAGAで放送中(Apple Podcast、Spotifyでも配信)

Twitter:@Kotonoha_NS
事務所公式サイト:https://localdream.jp/nakahara
中原茂公式サイト:http://www.nakaharashigeru.com/index.html