オワタPが“同人CDの作り方”を解説! サブスク時代に売れるCDの秘密って?
第11回「同人CDを作ろう!」
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「はい、みなさまどうもこんにちは。オワタPこと“ガルナ”です」
タイトルがさっそくなにかの自己啓発みたいな文章になっているが、実際のところ、今回はオワタPなりのノウハウをここに書き連ねる予定だ。だが、それだととてもまじめな感じになるので、ある程度緩い雰囲気で進めていきたい。
CDを作るというと、お気に入りの音楽CDをmp3やwavといった形式でパソコンに取り込んで、それをCD-Rに書き込む、というスタイルを思い浮かべる読者もいるかもしれない。しかし実際には、それは10年以上も前の話だ。
令和のいま、若い世代はそもそもCDを聴かない。iTunesのようなオンラインサービスで直接楽曲を購入して、そのままiPhoneなどで流すか、あるいはそもそもYouTube Musicなどのサブスクリプションを利用してストリーミングで好きな曲を自由に楽しむことが主流である。
なにが言いたいかというと、そもそもCDで音楽を聴く時代は終わりに近いのだ。一般のご家庭には、CDを再生する機器がないことなんて当たり前だ。それに、わざわざこのコロナ禍でリアルの店に行かなくても、インターネットで話題になった曲ならいくらでもオンライン上で楽しめる。
アーティスト本人が出している公式PVを聴いてもいいし、プロ・アマ問わずサブスクリプションが蔓延るこの世界、違法なアプリなどを使わなくても、手軽に本家を楽しむことは容易い。その敷居を下げてくれたのは今の音楽業界だし、これからはさらに手軽に楽しめる時代が来るだろう。
そんなご時世にどうしてCDを購入するのかなんて、理由は簡単だ。要するに「現物を手元に置いておきたい」というコレクターの鑑である。私もわかる。歌詞カードはやはり紙媒体で読みたい。CDで買えば色々と店舗購入特典などもついてくる。そういったプラスアルファの価値があるから、わざわざCDを購入するのだ。
だいぶ話が脱線してしまったが、同人CDを作るという理由も同じだ。自分が作った楽曲を、オンライン上ではなくて、オフライン上で形にしたいのだ。わざわざニコニコ動画やYouTubeで無料公開している楽曲を有料で頒布する理由なんて、それだけだ。そして、それを手に入れる方たちも、ファンだから欲しい、極限までシンプルに言えばそうなるのだ。
別にこのご時世に同人CDを作ること自体は結構だ。恥ずかしがることは無い。自由に、好きなように作っていい。それが、同人CDの醍醐味なのだから。
前置きが長くなったが、同人CDを作る話だった。それでは工程について説明しよう。
①収録する楽曲を作る
②パソコンでCD-Rに書き込む
③ケースやCDの盤面にイラストなどを印刷する
④包装する
これで同人CDは完成する。
ね、簡単でしょ?
私の場合は
②の段階をマスタリング担当者へ依頼し、
③のイラストもイラストレーターへ依頼し、
④の段階でCDプレスの会社へ依頼する。
やっていることは①の楽曲制作と、③のブックレットデータ、つまり歌詞カードを作成するくらいだ。もちろんすべて一人でできるなら一人でやればいいし、自分に足りない部分は誰かと共同で制作してもいい。歌詞カードをものすごくこだわってもいいし、プレス会社へ依頼しなくても自宅のプリンターでせっせと印刷してもいい。このあたりを自由にできるのが、同人CDの強みなのだ。
では、オワタPはどのような流れで同人CDを作っているのか。
まず、音楽CDに収録できる時間は基本的には74分までだ。だが、別に70分近くなければCDを作ってはいけない決まりなどはない。5分しかないCDを作る人もいれば、80分ギリギリを攻めるストイックな人もいる。私の場合は、だいたい60分くらいだろうか。ある程度収録予定の楽曲が仕上がる目途が立てば、そろそろ同人CDでまとめるかな、という感じで作り始める。曲数でいえば18~20曲くらいだろうか。
新譜を作ろうと決めたら、次は頒布するイベントを検討する。同人CDは作るだけではなく、ファンの方に手に取ってもらって初めて完成するといっても過言ではない。委託店舗による通販でもいいが、ここはやはり即売会で頒布したい。コロナ禍の前であれば、コミックマーケットを始めとしたイベントが乱立していたため、好きなところで頒布すれば良い。申し込みの段階で「新作あり」にチェックを入れたら、もう逃げることは許されない。イベント当日の朝に手元に頒布物があるように、自分で〆切を設定していこう。
次に、イラスト担当やマスタリング担当の方へ依頼をする。その段階で、なんとなくの〆切の時期や、いつ頃までに仕様書(イラストならどのキャラクターを描いて欲しい、このサイズ・解像度・種類でデータを用意して欲しいなど)を固められるかを伝えておこう。
それから、プレス会社に頼むのであれば、納品時期の確認も併せて行う必要がある。データ入稿が今の主であるが、会社によってはイベントへの直接搬入を手配してくれる場所もあるので、そのあたりは事前にチェックしておこう。頒布物を大量に搬入するのは個人だと大変なので、サポートしてくれる会社はありがたい。私も何度も使わせてもらったことがある。
これは大切なことなのでしっかりと伝えたいが、自分一人でやらないのであれば、コラボ相手への連絡はこまめに行おう。納期までに間に合わない、データが突然破損したなど、イレギュラーはいつ起こるかわからない。その時に連絡体制を整えて置けば、少なくとも誰かに迷惑をかける心配は少ないだろう。締め切り直前はだれしも焦ることが多いだろうが、その修羅場を潜り抜けられれば、自分だけのオリジナル同人CDが出来上がるのだから。
さて、今回の宣伝だが、過去に作成した同人アルバムは、基本的にはすべてダウンロード販売を行っている。同人CD現物自体はもう手元には保存用しかないが、欲しいという方はぜひ以下のまとめページから確認して欲しい。
というわけで、今度の10月のイベントに向けて現在鋭意制作中の同人アルバムについても、少しだけかかわってくる話を今回は書かせて頂いた。次回は実際にイベントで発生した思い出話などについて、語らせてもらおうと思う。
それでは。
つづく
ガルナ(オワタP)

(C)ガルナ(オワタP)
1987年12月31日生まれ。東京都出身。山羊座のB型。
代表楽曲「トルコ行進曲 – オワタ\(^o^)/」「パラジクロロベンゼン」「リンちゃんなう!」など
Website:https://garunan.com
Twitter:@tomatowt