トラウマ回すぎて封印!? ちびまる子ちゃん幻の未収録作品「まる子、夢について考える」ってどんなお話?
■国民的アニメ『ちびまる子ちゃん』の封印されていた第98話「まる子、夢について考える」
幻の封印回はどうして生まれたの?
国民的アニメ『ちびまる子ちゃん』ですが、中にはいまだに都市伝説的に語られる作品も。第98話「まる子、夢について考える」というお話がそのひとつ。この回は“幻の封印回”とも呼ばれています。

『ちびまる子ちゃん』オフィシャルサイトより
『ちびまる子ちゃん』が掲載されている雑誌「りぼん」の作品の中で、唯一単行本に未収録となったと言われている回「まる子、夢について考える」。一体どのような内容なのか、そしてこのストーリーが生まれた背景についても紹介していきましょう。
「まる子、夢について考える」のストーリー
『ちびまる子ちゃん』第98話の「まる子、夢について考える」は、雑誌「りぼん」の1995年2月号に掲載されました。読んだ人からは「子どものときに読んで意味不明すぎて困惑したなぁ」「当時読んだときはまじでトラウマだった」いった感想が上がっています。おおまかなストーリーをまとめてみました。
洞窟の中で、怪しい歌声と不気味な仮面をつけて踊る邪教徒たち。その姿を陰に隠れて見ていたまる子は邪教徒に見つかってしまいますが、王子様風の男の子に助けられます。仮面を外した邪教徒の正体はなんと藤木君や永沢君でした。
その近くで食べ過ぎが原因で小杉君が横たわっていて、ハエがたかって死んでいます。この後には、平安時代のお姫様の恰好をした野口さんやまる子ちゃんの母親の顔をした女の子が出てきました。
教室でたまちゃんと会話する場面に切り替わり、今朝見た夢の話をするまる子。たまちゃんに一生懸命説明しますが、なかなか理解してもらえません。夢の中に出てきた王子様風の少年と結婚した妄想をしながら、休み時間の10分間で幸せを味わえたことに満足するまる子。しかし、夢から覚めていないのか、突然教室にいた小杉君に対して、「顔に死相が出てる」などと暴言を吐いたり、邪教徒のお面を被った藤木を悪者扱いしたりと暴走していきます。
授業が始まってもまる子はうとうとしてしまい、再び夢の世界へ。夢で王子様風の少年と良い雰囲気になりましたが、それを邪魔した小杉君に対して、「小杉は食べ過ぎで死んでりゃいいのっ」と大声をあげます。まる子が我に返ると、そこは教室でした。驚いたクラスメイトと先生の冷たい視線が刺さります。最後に「今 まる子にとって大切なのは前世より反省であった」というナレーションが入り、結末を迎えました。
封印回が生まれた背景
封印回と言われているため、ストーリーについて読者からクレームが来てしまったという憶測がありますが、どうやらそれは違うようです。作者でもあるさくらももこ先生本人が、第98話が収録されるはずだったコミックスの13巻で以下のようなコメントを残していました。
“この原稿を描いていたころの私は、モーレツに忙しくて、「コジコジ」という漫画の新連載、「永沢君」という連載漫画の最終回、エッセイの締め切り、ちびまる子ちゃんの連載やコミックス用の描きおろし作品、TVシリーズの新作台本の執筆を行っていた”“また、「夢について」などという表現がものすごく入り組んだ構成のストーリーにとりかかってしまい… (単行本に収録することは)悩んだ末控えさせていただきました。”
第98話は、さくらももこ先生の意思でコミックス未収録となっていたのです。ただでさえ週刊連載が忙しい中で、これだけの仕事量をどうやって管理できていたのか疑問に思うほどです。
幻の収録本を読むことができる?
そんな封印回となってしまった『ちびまる子ちゃん』の第98話ですが、実は国立国会図書館で読むことができます。利用者登録を行ってしまえば、複写して自宅で読むことも可能。気になって読んでみたい人は、1995年2月号の雑誌「りぼん」で検索してみてください。
今回は、ちびまる子ちゃん幻の封印回「まる子、夢について考える」についてご紹介しました。他の国民的アニメにも幻のお話が存在するため、調べてみると面白いかもしれませんよ。
(文=ザ・山下グレート)