40年前の声優は今よりも断然“狭き門”! 中原茂が語る80年代声優事情

「日刊ビビビ」をご覧の皆さん、初めまして、声優の中原茂です。
この度こちらで、縁あって、連載をスタートさせて頂く事となりました。
声優という仕事を真ん中に置いて、その時その時の思いなども語らせて頂きたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします!

僕がこの世界にデビューしたのは、1982年、21歳の時でした。

「魔境伝説アクロバンチ」というロボットアニメの主人公・蘭堂 ジュン役(15歳)。当時15歳位までは、女性の方がアフレコをするのが当り前だったようなのですが、「主役の少年はまだ何もやった事のない男性で、それも新人で行こう! 周りは中堅・ベテランで固めて!」と言う事となり、最後にオ―ディションに来た僕が、初めてのオーディションだった僕が、信じられない事に、大抜擢されたのです!

打ち入りの席で、監督から「うちの、超超超超超新人です!!!」と皆さんに紹介された事を憶えています。

では、何故僕がオーディションを受ける事になったのか?
話は前年の1981年に遡ります。
僕は大学を2年で中退し、東京アナウンス学院(放送声優科)に入学。
レッスンは1年間で夜間のみの週3日。
(声優という名の付く科があつたのは、他2つの専門学校だけでした。他の2つも、夜間のみだったのですが、アナ学だけ週3とレッスン日が多かったのでこちらの門を叩きました)

(C)ローカルドリームプロダクション アナウンス学院に講師としてお呼ばれした際に

今では信じられませんが、クラスには、お子さんにしっかりとした読み聞かせをしてあげたいから、というお母さんもいらっしゃいました。

そしてスタート。

最初の半年間、芝居の基礎を教えて頂いたのは、演劇集団「円」の演劇部主任Fさん。この頃、声を出せる事を第一に考えて選んだバイトは海沿いの倉庫で、昼休みにサイレンが鳴ると同時に食堂に駆け込み、昼食を数分で片付け、残りの時間は「外郎売」と課題を、海に向かって、ただひたすらやり続けていました。

夏休みを挟んで後半の半年は、ディレクターやプロデューサーの方に、声の実技について教えて頂きました。(驚いたのは、夏休み後、クラスに30名いた人間が、半分の15名に減っていた事です)

僕達がある意味恵まれていたのは、講師の方々は全て、第一線で活躍されている方ばかりで、だからこそ厳しい現実を思い知らされていました。

「声優事務所はどこも募集を行っていなくて、声の仕事をしたいと思うのだったら、著名な劇団に入って、劇団員になる。そして運が良ければ10年位で仕事が出来るようになるかもしれないな」

ある時ディレクターのHさんに外画のARの現場を見学させて頂いたんですが「こんな事が自分に本当に出来るのだろうか」とカルチャーショックを受け、改めて自分が目指す世界の凄さを思い知らされました。

それから、あの頃の各声優事務所は、まだ養成所を持っていなかったので、道は限りなく細かったのです。そして声優事務所は十指に余る位しかありませんでした。

時間はあっと言う間に過ぎて行き、卒業が迫る中、Fさんとの、各人の進路相談の後、僕等は言われました。

「みんなの思いは分かった。この世の中に劇団は数多ある。でも、著名な劇団のオーディションも受けて欲しい。受かる受からないの問題ではなく、オーディションの厳しさをしっかりと体験して心に刻んで欲しい」

実は僕もFさんに言われたように、思い切って確か文学座を受けているんです。
見事に落ちましたが。

しかしその頃の自分は、舞台、劇団以外に何か声優という仕事に繋がる道はないのかと探していました。
そんな時、ある募集が目に飛び込んできたのです。

それは当時の若者に大人気だった情報誌「ぴあ」の一番下のはみ出しに載っていた一文で。

~マスコミの仕事をする為に、現役のディレクターに講師を頼んで、スタジオで実践的な勉強をする「ボイスアーツ」というグループを立ち上げました。その仲間を今募集中です~と言った内容で、新劇をやっている女性の方々数人が中心になって立ち上げたのだとの事でした。

それは当時としては画期的な夢のような取り組みだったのです・・・

あっ、この続きは、又次回という事で。

40年前と今とでは、声優界の状況は全く変わっていて、それについても折に触れ語らせて頂きたいと思っています。

色々考えたのですが、ここでは、ストレート勝負に拘らせて頂きたいなと思いました。
やはり文章にも情熱を滾らせたいですよね。

では、これから皆さん、よろしくお願いいたします!

 

中原茂(なかはら しげる)

(C)ローカルドリームプロダクション

1961年生まれ。鎌倉市出身。みずがめ座の0型。
「ドラゴンボール超」人造人間17号、「新機動戦士ガンダムW」トロワ・バートン、「戦国BASARA」シリーズの毛利元就、「幽遊白書」妖狐蔵馬など数々のキャラクターを担当。
吹き替えでも「ビバリーヒルズ高校白書・青春白書」ブランドン・ウォルシュや「X-MAN Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」のサイクロプス役などを担当。
ラジオ番組「yuhaku presents 中原茂の『ただ風の中で』」は毎週金曜日19時からFM JAGAで放送中(Apple Podcast、Spotifyでも配信)

Twitter:@Kotonoha_NS
公式サイト:https://localdream.jp/nakahara

 

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