オワタP本人も大苦戦!? 音ゲーの“高難易度ノーツ”が生まれる理由
第八回「生みの親に向かってなんだそのノーツは!」
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「はい、みなさまどうもこんにちは。オワタPこと”ガルナ”です」
すっかりこの話し方も板についてきた頃合いであろう八回目の寄稿だ。みなさんもオワタPの記事を読むことは習慣化しているだろうか。ここ最近の記事では生々しい数字の話だったり、印税の話だったり、そういった運用面の事務的な話が多かったと思うので、今回は久々に音楽家らしい話をしようと思う。
タイトルでなんとなく察することが出来た人は友達になれると思う。そう、今日は音ゲーの話だ。
オワタPとして作ったボカロ曲の中には、ゲームセンターなどで稼働しているアーケードゲームに提供している楽曲がある。有名どころでいえば『トルコ行進曲 – オワタ\(^o^)/』や『パラジクロロベンゼン』『リンちゃんなう!』などが挙げられる。他にもいろいろと楽曲を様々な筐体へ提供しているので、興味がある方はぜひ遊んでほしい。
基本的には、ゲームに組み込みたい楽曲はそのまま、特に手を加えることもなく提供しているが、中には一曲の長さを短くするために『ショート版』を作ったり、あるいはゲーム制作サイドがうまいこと原曲を加工して短くしたりして、ゲームに実装している。
一曲の長さについては、長くても2分くらいを目途にしていることが多いので、原曲よりも短くすること自体は仕方のないことだ。筐体の稼働率などを考えているのかもしれないが、少なくとも私は4分以上の楽曲をプレイしたいとは思わない。手が疲れてしまうからね。
そして、当然ながらこれはゲームなので、画面に合わせてターゲットが流れてきて、タイミングに合わせてボタンを叩いたり、タッチやスライドをしたりする必要がある。そのターゲットのことは「ノーツ」「譜面」と呼ばれることが多い。楽曲提供者の中には自分でノーツを考えている人もいるらしいが、私はあまり音ゲーをやらない人間なので、いつもの場合は制作サイドにPV作成を含めてすべておまかせしている。
もちろん、最終チェックの仕事は私の役目だ。きちんと作曲者の意図通りのタイミングでノーツが流れてきているのか、そういった部分を含めての確認だと思うが、確認用の画面に流れているノーツの難易度については正直な話「難しそうだな」という印象しかない。
今まで提供した楽曲については、一番難しい難易度の譜面のみ確認を行っているのだ。そして、高難易度のノーツについては、私はクリアできないだろうが、歴戦の音ゲーマーたちならきっとクリアできるに違いない、という認識で気軽にオッケーを出してしまっている。
いわゆる「楽曲提供者がクリアできない譜面」はこうして完成するのである(すべての楽曲提供者がそうとはかぎらないし、もしかしたら中にはもっと難しくしてください、みたいなリテイクを出している猛者もいるのだろう、というかいることは知っている)。
初心者には、初心者用の優しい譜面がある。当然ながら私もその程度であれば、誰の曲であっても初見でクリアすることは可能だ。だが、上級者用の譜面については、物足りない難易度にしてしまうと、やはり上級者を満足させることはできないだろう。なので、作曲者がクリアできなくても、それはすべての音楽家がゲームまでうまいわけではないので、どうか許してほしい。
まぁ、私みたいにゲーム実況プレイをしている人間としては、やはり手塩に掛けて育てた自分の曲が、生みの親に向かってノーツという牙をむいてくるという事態に、やはりこう声をかけるのが正解なのだろう。
「生みの親に向かってなんだそのノーツは!」
(ちなみに視聴者からはコメントで「お前がオッケーを出したんやろがい!」と返ってくる一連の流れがテンプレートと化している)
さて、今回の宣伝だが、商業ゲームに提供している楽曲と筐体一覧について、以下のページでまとめているのでぜひ見てほしい。
⇒がるなん.com
※ページ中盤の「■商業ゲーム」欄をご確認ください。
このページには他にも私の使用している機材や、楽曲を提供した商業グッズ(CDやDVDなど)をすべてまとめているので、見たことがない人はぜひ見てほしい。意外と書籍のインタビューなどを含めると、かなり活動していることがわかると思う。私もそう思う。
今回はここまで。次回は引き続き、先程のページに記載している機材について、お話をしようと思う。私がどのような環境で楽曲を作っているのか。あるいは、ゲームをプレイして配信をしているのか。気になっている方もいると思うので、どういう点について注意して環境を構築しているかを含めて、ぜひ興味を持ってもらいたい。
それでは。
つづく
ガルナ(オワタP)

(C)ガルナ(オワタP)
1987年12月31日生まれ。東京都出身。山羊座のB型。
代表楽曲「トルコ行進曲 – オワタ\(^o^)/」「パラジクロロベンゼン」「リンちゃんなう!」など
Website:https://garunan.com
Twitter:@tomatowt