スネ夫には弟がいた!? 『ドラえもん』の激レアキャラクター・スネツグ
■スネ夫には養子に出された弟がいた!?
ドラえもんの超激レアキャラクター・スネツグとは
「わるいな、のび太。この○○、3人用なんだ」そんなお決まりのセリフで毎回のようにのび太をハブって何かと嫌がらせをしてくる金持ちキャラ・スネ夫。もはや説明不要の国民的人気漫画&アニメ『ドラえもん』のキャラクターですが、しかしそんな彼には実は『スネツグ』という名の弟がいるのをご存じでしょうか?

「ドラえもんチャンネル」より
「スネ夫に弟? あいつ、1人っ子じゃないの?」と驚かれた方もおられるでしょう。スネツグは昔は骨川家にいたのですが、訳あって養子に出され、現在はニューヨ-クに住んでいるのです。そんな激レアキャラのスネツグが原作漫画で登場するエピソードを見ていきましょう。
スネツグが登場したのはたったの4回のみ!
スネツグが原作漫画で登場したのはたったの4回だと言われています。以下に登場した回を年代順に並べてみました。
1:『お化けたん知機(弱いおばけ)』…『小二』1970年6月号掲載
(『藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん』2巻収録)
2:『アリガターヤ』…『小四』1971年8月号掲載
(『藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん』1巻・『ドラえもん プラス』3巻収録)
3:『お返しハンド』…『小二』1972年8月号掲載
(『藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん』4巻収録)
4:『スネ夫は理想のお兄さん』…『小学四年生』1984年9月号掲載
(『藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん』14巻・てんとう虫コミックス『ドラえもん』40巻などに収録)
『ドラえもん』の連載開始が1969年(掲載は1970年1月号)ですから、1~3の発行年の通りごく初期にしか登場していません。この初期3作の頃はまだ養子に出されておらず、スネ夫と一緒に骨川家で暮らしているようでした。
しかし『お返しバンド』での登場を最後にスネツグは全く姿を現さなくなり、次の登場はなんと約12年後の『スネ夫は理想のお兄さん』。しかもいつの間にか養子に出されており、ニューヨークに住んでいるという衝撃の事実をひっさげての登場でした。
『スネ夫は理想のお兄さん』という回で、ニューヨークから久しぶりに日本に遊びにやって来たスネツグ。何故か彼は兄のスネ夫を成績優秀・スポーツ万能・女の子にモテモテの完璧超人のように思い尊敬しています。それというのも、スネ夫がスネツグへの手紙で自分のことを色々と誇張して書いてしまっていた為…。スネツグの前では完璧な兄でいたい! というスネ夫の願いを、ドラえもんが秘密道具『イメージライト』を使って叶えてあげる(スネ夫の為というより、スネツグの夢を壊さない為ですが)… といったエピソードです。
「弟の前ではええカッコしていたい兄」という兄弟あるあるを描いた、何とも微笑ましいエピソードではないでしょうか。
スネツグが養子に出された理由は?
さて、何故スネツグは養子に出されたのでしょうか? それは前述の『スネ夫は理想のお兄さん』の回でのび太とドラえもんが説明してくれています。
「たしかニューヨークに住んでるおじさんに子どもがなくて、何年も前、養子にもらわれていったスネツグくん。ずいぶん大きくなったなあ」
劇中でそんな何年も経っていたか? という疑問もありますが、ともかくここで彼が「子どもがいないおじさんの家に養子に出されたこと」と「今はニューヨーク在住であること」がわかります。しかし、それならこの回以前に養子に行く時のエピソードがあっても良さそうなものですが、そのような話はどこにもありません。何故でしょう?
それは… どうも「藤子先生がスネツグの存在を忘れていた」から、なのだそうです。藤子先生も人間ですから、時にはこんな間違いもしてしまうのでしょう。しかし、この『作者が忘れた説』はそこかしこでまことしやかに話されているものの、どうも情報源が不確かではっきりしません。理由としては確かに一番あり得そうなのですが…。ともかく、再登場しないまま消えていったキャラクターもいる中で、スネツグは再び登場できただけ恵まれているのかもしれません。
(文=ザ・山下グレート)