良い声優は視野が広い!? 声優・クリエイターが語る“信頼できる声優”の特徴
【畠中愛のマナビノヒビ】第13回
こんにちは。声優・クリエイターとして活動しております、畠中愛(はたなかまな)です。
この連載もついに13回目……アニメでいうとちょうど1クールです!
そんなわけで、今回でビビビさんでの連載も一旦区切りとなります。
前回はクリエイターとしての自分が目指したいことについてお話しさせていただきましたが、最終回となる今回は、声優としての自分のこれからについてをお話ししたいと思います。

(C)畠中愛
声優として……といいつつ
「声優としての自分の活動」と「クリエイターとしての自分の活動」は、まったく異なるフィールドの別のお仕事のようでいて、そうではないと思っています。
以前のコラムでもお話ししたように、声優は作品を作るうえでの歯車の一つであり、大きな意味でいえば声優もクリエイターも「共に作品をつくるお仕事」だと考えているからです。
だから改めて、自分が声優・クリエイター両方の分野で活動できていることはとてもありがたい環境だなと思います。そこに身を置くことで、いつでも「声優」「クリエイター」両方の気持ちを知ることができるからです。

(C)畠中愛
クリエイターとして活動してわかった、「いいな」と思う声優像
昔の私が考えていた「声優のお仕事」は、いいお芝居をすること・求められているお芝居をすることだけでした。まだまだ自分のことだけしか考えていないというか……ものすごく目線が狭くて、作品作りの中の局所的なところにしか興味をもてていなかったんじゃないかと思います。
でも作品づくりはチームプレイですから、自分のことだけ考えていてはうまくいきません。(と言いつつうまくいくこともありますが、そういった場合はその人にたいへんな才能があるか、あるいは周りがものすごくサポートしていて、本人がそれに気づいていないのでしょう。)
実際にクリエイターとして色んな現場に関わってきて私が強く感じたのは、「素敵だな」と思う声優さんほど視野が広く、まわりの人や現場に対してもすごく興味をもって仕事しているということでした。

(C)畠中愛
まわりに興味をもって仕事してくださる声優さんは、信頼できる
そういった方は、「自分の声が、関わるスタッフさんたちによってどう使われ、どう届けられるのか」といった、その場だけではなく先の工程までを見据えて仕事されていることが多いです。
それはつまり、「自分がお芝居して終わり」ではなく「作品全体がうまくいくにはどうすればいいか」を考えて仕事してくださっている、ということなのだと思っています。
勿論、スタッフはスタッフで同じことを考えているので、「同じ目標に向かって仕事する」ことができるわけです。それは最終的に、作品そのもののクオリティに直結するところがあると思いますし、そういった考え方の出来る方は、スタッフ的な目線だととても信頼できる方だと感じます。
いま飽和状態と言われている声優業界ですが、特に若手声優(自分含め……)の中では、この「自分がお芝居して終わりではない考え方」のできる方とそうでない方が、大きく分かれているように思います。

(C)畠中愛
翻って、自分自身は……
正直、6年前はまだ自分もそういった考え方はできませんでした。……が、ようやく、少しずつ考えることができるようになってきたと思います。
けれどここで重要なのは、考えるだけでなくて、それをちゃんと実行・実現することなんですよね。ここ最近で特に「この考え方を大切に活動していきたい」という自分の声優としての目標は明確に定まったので、これをずっと実行・実現していけるように、日々戦っていく必要があると考えています。精進あるのみ、です。

(C)畠中愛
これからも日々、進化していくために
これまでクリエイターとしての活動のおかげで学べたことは数多く、声優としての活動に活かせるものも、数えきれないほどあります。
特に2020年は、コロナ禍による収録現場のリモート化や宅録への移行等々「現場の変化」がとても大きく、そのぶん「今までの活動が生きる」ことが沢山ありました。
きっとこれからも、この「時代に伴った進化」を求められる機会は少なくないでしょう。
だからこそ、「声優」であり「クリエイター」であるということを強みに、どちらの道も、これからも突き詰めて進んでいきたいと思います。

(C)畠中愛
……そんなわけで、私のこれからやりたいこと、目指していることでした。
なんだか少しざっくりしていますが(笑)
計13回の連載、いかがでしたでしょうか。
口下手な私ですが、このコラムを通して少しでも私という人間を知っていただくと共に、声優・クリエイターといった職業だったり、あるいは記事の中で紹介させていただいた作品だったり……何か一つでも興味をもってもらえるきっかけになれたなら、嬉しいなと思います。
未熟者ではありますがこれからも精進してまいりますので、もしもどこかで見かけることがあれば、応援していただけると嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
畠中愛(ハタナカ マナ)

(C)畠中愛
1990年12月3日生まれ。兵庫県出身。
アニメ「クレヨンしんちゃん」やゲーム「感染少女」などに出演。
声優として活動しながら、クリエイターとしても活躍中。
処女作であるフルボイスノベルゲームPRINCESS NIGHTは、Nintendo Switch版開発が決定。
Twitter:@lilith0913
HP:https://givemeoshigotomh.wixsite.com/manahatanaka