インディーと商業クリエイターの違いって? 声優クリエイターが語る“クリエイター”としての生き方

【畠中愛のマナビノヒビ】第12回

こんにちは。声優・クリエイターとして活動しております、畠中愛(はたなかまな)です。

日刊ビビビさんでの連載も、早くも12回目! 時間が経つのは本当に早いです……。
お仕事のことに好きなこと、いろんなことをお話してきましたが、今回は「自分がこれから目指したいこと」にフォーカスを当ててお話ししたいと思います。まずはクリエイターとしての自分編!

(C)畠中愛

思い返せば、創作はじめてもう6年……

「野望はあれども、客観的に見れば趣味の延長」。私はそう考えながら、基本的にこれまではインディーのフィールドでのみクリエイター活動を行ってきていました。そこはクリエイターとして右も左もわからなかった自分にとって、「チームでモノを創ること」の基本を学ぶことのできた貴重な環境でした。

インディーでの制作は基本的に予算や時間との戦いがかなりシビアである分、「いつでも自分(たち)自身がクライアント」なので、その他の制約は比較的少ないです。それはつまり、工夫次第でなんでもできるというわけで……6年ほど続けてきたこの活動の中で、「じゃあ、どうやって工夫したら面白いものをつくれるのだろう?」と考える経験をたくさん積むことができたのは、とても大きな学びだったと思います。

(C)SOLDIER STORAGE

「クリエイター」として会社に所属して、1年

お芝居もしたいけど、作品もつくりたい。色んな姿で、エンタメの世界に身を置きたい。そう思い、クリエイターとして「サイバラックス」に身を置いてから早1年……サイバラックスでの私は、自身の声優としてのお仕事の受注やキャスティング、収録業務に関わる取り回しを行うのは勿論、さまざまな開発関係の業務にも携わっています。あまり詳しくは書けないのですが、さまざまなプロジェクトの企画書や仕様書を作ったり、キャラ原案を作成したり、こういった記事関係のライティングやシナリオ執筆を行ったり……最近はもう、会社自体が「開発の何でも屋」化している気がしていますね(笑)

(C)合同会社サイバラックス

商業、特に他社から依頼をいただいて行う制作活動では、インディーとはまた違った様々な制約の中で制作を行う必要があります。インディーでは「お客様に楽しんでいただけるモノを、自分が納得できるように創る」だったのが、ここでは「クライアントに納得・満足してもらいつつ、お客様に楽しんでいただけるモノを創る」になるわけです。なぜなら、クライアントが満足・納得しなければ企画が成立しなくなる=ユーザーに届くことがなくなるから。クリアすべき優先度は「クライアントの満足度>ユーザーの満足度>自分の満足度」になるわけです。

ユーザーにとって満足度の高くなりそうなモノを、どうやってクライアントにも「良い」と思ってもらうか……「売れる」と思ってもらうか。インディー製作のときとはまた違った工夫が必要で、毎日が勉強の日々です。

「クリエイター」としてさまざまな形で活動してきて……

そうやってインディー・商業共にクリエイター活動を行ってきた私ですが、この両方の活動を通して、学んだことがあります。それは……お金、時間、お約束事、どんな制約があったとしても、結局「自分自身が納得できる仕事」を追求しないと、クリエイターとして生きることは難しいということです。この「納得」というのは、楽しさや充実感のことを指すのではありません。自分が胸を張れるかどうかということです。

(C)畠中愛

前の話に出た通り、この「自分自身の納得感」は、時には優先度の一番下に来るものです。それでも、ここを追求しない限り、どこかで歯車が嚙み合わなくなってくる。気持ちにうまく折り合いをつけることもきっとできるとは思いますが、「はたして、そうする自分をクリエイターだと自信を持って言えるのだろうか?」と思ってしまうのです。

だから自分は、この「自分自身の納得感」までを常に追い求めているのですが……難しいのは、納得しきっちゃったら、それはそれで終わっちゃう気もするんですよね。だって、納得しないから「より良いもの」を求めるわけで……。

そう考えると、自分が今やっているのは、永遠に掴めるはずのないものを追いかけ続ける仕事なんじゃないか、とも思います。こういうところは、役者もクリエイターも一緒な気がします。根本的にマゾヒストなんじゃないでしょうか。

そんなわけで、どうなりたいか

結論から言えば……一生、飢えていたいです!結論なのにものすごく抽象的で、よくわからない表現ですが(笑)

うまく言えませんが、幸せになるために、不幸せでいたいのです。胸を張るためにずっと自分に恥ずかしさを感じたままでいたいですし、自分が納得するために、納得できないままでいたいです。それを続けることできっと、本当に周りの人を幸せにできるクリエイターに成長できるんじゃないかと思うのです。

(C)畠中愛

「どうか、関わってくれる方やお客様、できるだけたくさんの方が、幸せになれますように。」

結局、クリエイターだけじゃなくのお話になっちゃった気がしますが……(笑)
次回は声優目線も交えて、これからのことをお話ししていきたいと思います。
最後までよろしくお願い致します!

次回コラムもお楽しみに!

 

畠中愛(ハタナカ マナ)

1990年12月3日生まれ。兵庫県出身。
アニメ「クレヨンしんちゃん」やゲーム「感染少女」などに出演。
声優として活動しながら、クリエイターとしても活躍中。
処女作であるフルボイスノベルゲームPRINCESS NIGHTは、Nintendo Switch版開発が決定。
Twitter:@lilith0913
HP:https://givemeoshigotomh.wixsite.com/manahatanaka

 

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