「のんのんびより りぴーと」主題歌の制作秘話を初公開! 「こだまことだま」はアマチュア時代に作った曲がきっかけだった

nano.RIPEきみコが語るアニメ楽曲制作の裏側「第5回」

日刊ビビビをご覧の皆様、こんにちは。
nano.RIPEのきみコです。

現在、テレビアニメ第3期が放送中の「のんのんびより」シリーズ。
これまでこのコラムでは、オープニング主題歌「つぎはぎもよう」「なないろびより」についてのアレコレを綴ってきました。
今回は、テレビアニメ第2期「のんのんびより りぴーと」のオープニング主題歌「こだまことだま」についての裏話を少々。

(C)ハイウェイスター

2013年10月より第1期が放送スタートした「のんのんびより」。
大人気のうちに幕を閉じ、視聴者のみんなが「のんのんロス」で苦しんでいた矢先、春の訪れと共に第2期の制作が発表となりました。

1期に続きオープニング主題歌を任せていただいたぼくら。
1期と2期で主題歌担当アーティストが変わるなんてこともザラにあるので、お話をいただいた時は思わずガッツポーズをして喜びました。
そして同時に誓ったのです。1期の時のようなミスはもうしないぞ、と。(コラム第3回参照

1期はきみコ作曲「なないろびより」vsササキジュン作曲「きせつの町」で結果「なないろびより」に軍配が上がりましたが、2期こそ負けないぞ、と気合十分のササキジュン。
これは厳しい闘いになるぞ… と思いつつ、そうしたライバルがいてくれることがより良い楽曲を生む何よりのスパイスなので、「どちらが選ばれても納得のいく曲を提出しよう」と制作に取り掛かりました。

あたしがまず最初に決めたのはBPM。いわゆる楽曲の「テンポ」です。
nano.RIPEの楽曲は180~190あたりの曲が多いのですが、1期の「なないろびより」は134。
速すぎず、遅すぎない、このあたりのBPMが「のんのんびより」の世界に合っていると思うのですが、果たして2期もそれで良いのか?
いろいろと考えた結果、あたしの出した答えは“もう少し遅く”ということでした。
「なないろびより」のワクワクするようなテンポ感から少し下げて、人が歩くスピードに寄り添えるような、青空の下で行進するような、そんな曲にしよう、と。

そして、そのイメージが出来た瞬間から、あたしの脳内にはとあるメロディがループしていました。
それは、「こだまことだま」の出だしにも使われているAメロ。
あのメロディ、実は元々アマチュア時代に作った未発表曲「チーズケーキと夕暮れ」という曲のAメロだったのです。

作ったけれど、日の目を見ないまま消えていってしまう曲たちはたくさんあります。
その中で「チーズケーキと夕暮れ」という曲のメロディは特に気に入っていたこともあり、このタイミングで思い出したのはなんだか必然のことのように感じました。
試しにとそのAメロをキッカケに作り始めたら、なんとBメロ・サビまでスルスルスルーっと書けてしまったのです。

あまりにスムーズだったので念のため違うアプローチも何パターンか模索してみるも、どれもイマイチしっくり来ず。
閃き、というとなんだか直感的なことのように思えますが、その裏側には結構しっかりとした思考の過程があるのかもしれないな、と思いました。

よって、自分を信じてそのまま突き進むことに。
歌詞はもちろんAメロも新たに書き直し、きみコ渾身の1曲「こだまことだま」のデモは完成しました。

お察しの通り、今回もメンバー内コンペに敗れたササキジュン。
「みずたまり」という曲を持ってきたのですが、正直この曲を聴いた時「これは負けるかもしれない…」と本気で思ったほど、この曲も素晴らしく「のんのんびより」だったのです。
「みずたまり」は「こだまことだま」のカップリングに収録されているので、是非そういう視点でも聴いてみてくださいね。

今回は本当に知るひとぞ知る、というエピソードでした。
当時のインタビューでも話さなかったはず。
このコラムがなければ言うことはなかっただろうなあ。
ということを、これからも思い出しつつ綴ってゆきたいと思います。

次回は、「こだまことだま」のこだわりポイント(特に歌詞!)やアレンジ、MVについて書いてゆきます。

 

きみコ

(C)ハイウェイスター

3月12日生まれ、千葉県出身。
ロックバンド nano.RIPEのVo.とGt.として
アニメ「花咲くいろは」「のんのんびより 」「食戟のソーマ」など数々の作品の主題歌やキャラクターイメージソングなどを手掛ける。
Twitter:@nanoripekimiko
instagram:@nano.ripe
バンドHP:http://nanoripe.com/

 

\30日間無料で楽しめる!/