【連載】タピオカの立ち位置が解せない… あえて“流行り”に乗らない人たち
世の中は、2種類の人間に分けられる。流行に乗る人か、そうでない人か―。様々な“ブーム”がひしめく昨今。あえてブームにならない者たちは一体何を想い、どう世の中を捉えているのだろうか。本連載では、そんな流行に乗らない人々に密着していく。
File1:「タピオカ」に手を出さない女
私は食べることが大好き。パンケーキ専門店ができれば初日に足を運ぶし、台湾のかき氷が日本に初上陸したときは3時間も並んだ。食べるとあれば長蛇の列も苦じゃないし、仕事だって頑張れる。しかしそんな私でも唯一手を出さないものがある。それが「タピオカ」だ。
タピオカといえば、今や空前の大ブーム。道を歩けばタピオカ専門店が立ち並び、SNSはタピオカミルクティの写真で溢れ返っている。コンビニに足を運べば、やれタピオカアイスだ、やれタピオカスイーツだと騒々しい。一体タピオカの何にそこまで惹かれるのだろうか。
はじめに言っておくが、私はタピオカが嫌いなわけではない。タピオカの“立ち位置”が解せないだけ。というのもタピオカは、いつも何かに付属している。たとえば“タピオカミルクティ”。私にとってタピオカミルクティは、メインがミルクティでタピオカはおまけだ。人はこの組み合わせを楽しみたいのだろうが、私はミルクティを飲むならミルクティだけに徹したい。
タピオカスイーツに対してもそうだ。ケーキなどのスイーツが大元にあって、その上にタピオカが乗っているだけ。謂わばシュウマイのグリンピース。決して主役はタピオカではない。メインの後ろについて回っているだけなのに、“奴”はなぜか主役気取り。皆も「タピ活」「タピる」などと言って、タピオカを祭り立てている。ミルクティがあってこそのタピオカミルクティなのに、なぜミルクティよりもタピオカが目立っているのだろう。私はそれが許せない。
そういえば私がまだ高校生の頃。クラスメイトたちが文化祭の準備になかなか協力しない中、私は一生懸命準備を進めていた。しかし文化祭当日、脚光を浴びたのは表舞台で食事を運ぶウエイトレスたち。準備には1mmも参加しなかった人たちが、周りから「可愛い」と称賛されていたときは若干殺意が沸いたっけ。私たちが準備を進めていたからこそ催し物が成り立っているのに、誰もそこは評価してくれない。あの頃の自分ほど、惨めな気持ちになったことはなかった。
つまりタピオカとは、あのときのウエイトレスたちと一緒の存在。それも私がタピオカに手を出さない理由の1つなのかもしれない。私がタピオカに手を伸ばすとき、それはあの頃の自分から脱却したときだ―。
そう語る彼女の表情はとても凛々しかった。タピオカに手を出さないことは、彼女にとってある種の闘いなのだろう。果たしてこの先、彼女がタピオカを食すときは来るのだろうか。答えは誰にもわからない。
(文=ターバン美津子)
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